Ks.氏から2009/09/08 02:01:19

昨日、葉書が届いた。
Ks.氏からだった。

なつかしいなあ、と思いつつ、まだ、Ks.書房が健在で、体力のあることを嬉しく思う。

そして今日、メールも着信。
某著名詩人の会への、お誘い&お知らせだった。

行ってみようかな。
いや、でも、やめておこうか。

この時期、Ks.氏からの、偶然の音信は、なんだか不思議な気もする。

Ks.氏は、フランスのあの人のことを知る、日本にきたあの人に会ったことのある、たった2人の日本の知人のうちの1人。

あの人が、はじめて日本に来たのは、15年ほど前だったか。
私がフランスから帰国して、3か月後に入社した小さな出版社での先輩社員だったKs.氏は、無口でクールな、とらえどころのない飄々とした人だった。

当時、社内での私の親友と呼ぶにふさわしかったChieとつきあっていたKs.氏は、ごく自然に、私のことを、Chieとともに知るようになり、その縁で、4人で、日本のささやかな旅を楽しんだ。

Ks.氏が、某社に誘われて退職したあと、私はあいかわらず会社に残って仕事を続けていたが、編集長とどうにもうまくやっていく自信がなく、ある日、担当雑誌の最新号が出たところで、辞表を出した。

あとのことは何も考えずに会社を辞めた私に、A社のSさんが、突然、もの書きじみた仕事を私にふってくれ、たじたじとする私になんとか仕事をさせてくれていた。
そんなころ、転職をしたKs.氏から、「こっちに来ないか」との話があった。

考えた末、私はまたも、Ks.氏と同じ職場で働くことにした。
今から思えば、Ks.氏は、私の人生の岐路を左右した人であったかもしれない。

Ks.氏の誘いがなかったら、私はこの世界から、とっくにはじきとばされていたに違いない。

それなのに、私はKs.氏よりも先に、第2の職場を離れた。
恩知らずとは、まさにこのことだ。

そして、第3の会社で、私は今も、働いている。
さすがに、若かったころのような勇気は、今はない。
理想よりも、保身を考えるように、なってしまった。

私が第2の会社を去った後まもなく、Ks.氏もその会社を去った。
そして独立。

今は、自分の目にかなったものだけを出版する、小さな出版社のオーナーとなった。こういう志のある出版社は、経営は非常に苦しいものだ。それなのに、踏ん張っているなんて、素晴らしいことだ。

Ks.さん、あの人は今、ギリシャにいますよ。
あいかわらず、海が好きです。

はじめて、伊豆の海を見たあの人が、

「信じられない、ぼくは、太平洋を目の前にしているんだ!」

そう感嘆していたのを、覚えていますか?



そうか・・・、Ks.氏となら、あの人の思い出話ができるんですね・・・・
でも、Chieのいないところで、Ks.氏に会うのは、やはりよしたほうがいい。

Ks.氏とChieは、いっしょになることはなく、今もそれぞれの道を歩んでいるけれど、やはり、Chieにとって、大切な人だから。

Ks.氏に会うのなら、Chieを誘ってからだ。それが、筋というもの。